東北リーグ VSラスィーボ青森

10月2日青森市スポーツ会館にて、東北社会人サッカーリーグ2部北2022最終節が行われた。奥州ユナイテッドFCは暫定1位ではあるが、この試合勝たなければ優勝及び昇格はない、正真正銘の大一番。対戦相手はラスィーボ青森、昨季から東北リーグに参戦し、上位のチームに勝っている力があるチームだ。メンバーには青森山田高校出身選手やJFLのラインメール青森でプレーした選手もいる。最終節に立ちはだかる大きな壁であり、来期1部参入に向けて避けては通れない道だ。奥州ユナイテッドFCは1956年に創部し、2006年に東北リーグに参戦した。2部の門番、踏み台としてJFLやJ3に上がっていったチームも数多く存在する。17度目の正直として、いざ戦いに臨む。
フォーメーションは3-4-2-1。スターティングメンバーは、GK31番根本、DFは右から32番田村、19番佐藤達、10番千葉龍二。MFはボランチに、6番藤原直哉、7番今松、右サイド9番佐藤史也、インサイドハーフは8番佐々木海斗、14番石母田左サイド11番藤原史也、1トップ26番菊地千帆の布陣で挑みます。ベンチメンバーにはGK21番菊池、DF2番後藤、MF15番千葉一樹、24番小川、28番佐々木、 99番高橋、FW18番佐藤真貴の7名。今季初のメンバー外が2人出るほど、万全の体制で望んだ。代表の佐藤、GMの及川、OBの千葉も現地に駆けつけ、固唾を飲んで見守る。
対する青森は4-1-4-1。CBは二人とも185㎝を超え、FWも180㎝と大きな選手が多く、セットプレーでは脅威となる。
立ち上がり早々、両チーム長いボールからの空中戦、地上では激しいプレスでぶつかり合う。奥州は積極的に10番千葉から逆サイド9番佐藤史也へ背後のボールを狙う。前半10分スルーパスから抜け出され、GK31番根本が冷静な飛び出しから右足を伸ばし、ビッグセーブをする。このタイミングでうまく嚙み合ってないところを修正する為、フォーメーションを4-1-4-1へ変更する。そこからボールポゼッションがうまくいき始める。7番今松から11番藤原史也への浮き球に反応し抜け出すも、相手GKの抜群の飛び出しで阻まれてしまう。また26番菊地のポストプレーから14番石母田が抜け出し11番藤原史也がミドルシュートを放つも、捉える事が出来ない。お互いチャンスを作りながら、ネットを揺らす事が出来ず、前半終了。ハーフタイムに日陰で休息しながら、守備で相手のストロングポイントを消すように修正する。そして後半から26番菊地に替え、18番佐藤真貴を投入する。
後半開始から18番佐藤が積極的にシュートを放ち、相手ゴールを脅かす。後半14分、9番佐藤史也と11番藤原史也に替え、15番千葉一樹と24番小川を投入する。24番小川は投入後、早速裏への抜け出しGKと1対1になるも、トラップが足元に入り過ぎてしまい、シュートを打てなかった。また15番千葉も左サイドから縦に突破し、クロスをあげ、チャンスメイクする。いつもであれば足が止まってくる時間帯でも、選手の集中力は切れない。間延びもせずに、常にコンパクトな陣形を保っている為、守備からの攻撃、攻撃からの守備もスムーズに移行出来ていた。点が入りそうで入らなくても、焦れずにその瞬間を待つ。後半42分遂にその瞬間が.やってきた。24番小川がボールを奪い、7番今松へ。そこから逆サイドの15番千葉へ繋ぎ、ペナルティーエリアへ侵入しカットイン。相手DFはドリブルに対応できず、崩れ落ちる。その隙にニアサイドへシュートを放ち、GKの横をすり抜け入ったと思いきや、ポストに当たり、ゴール前にこぼれてきた。これが、カウンターの起点となった24番小川の前に転がり、冷静に左足で流し込み、ネットを揺らし、ベンチメンバーのもとへ走り、抱き合い喜びを露わにした。しかし、この場合でも気を抜かず、GKの根本、CBのキャプテン千葉、19番佐藤は残り時間を考え、集中力を高めていた。その後、8番佐々木に替え、2番に後藤を投入し、5バックで守りを固める。18番佐藤はコーナーフラッグ付近で、相手2人を抑え込み、時間を稼ぐ。ロスタイム4分が過ぎここで試合終了の笛が鳴る。この瞬間、優勝及び1部昇格が決まった。全員で喜びを噛み締め、涙が止まらない。特に19番佐藤は在籍し15年、誰よりもチームの事を分かっていた、1部昇格を諦めた時もあったと言う。しかし、スポンサーやOBへの感謝の気持ちで、ここまで走り続けてきた。
今シーズンを振り返り、石母田監督は目標を『周りを圧倒し、優勝』と掲げた。一昨年は得失点差で負け、昨年は1位ながらコロナで中断、3度目の正直となる今シーズン、思いがどのチームよりも強かったと思う。冬の期間は個人の守備能力、球際の部分と攻から守、守からの攻の切り替えの部分を徹底して取り組んだ。そして新加入選手を迎えて、シーズンインし1部相手のトレーニングマッチを何回も組んで頂き、基準値を常に1部のレベルでやってきた。山場となった秋田FCカンビアーレ、TDK親和会サッカー部、この2試合はやっている側も見ている側もとても苦しい展開であった。どちらも1対1の結果に終わり、後がなくなったが結果的に火事場の馬鹿力、チームが一致団結する要因になった。また新加入選手の8番佐々木は8ゴール、15番千葉2アシスト、24番小川は優勝を決めるゴールといった大きな活躍でチームに勝利を与えてくれたのが大きかった。
そして今シーズンは例年以上にスポンサー・サポーターのお力添えが大きかった。菅勝不動産様をはじめとする45社のサポート、そして小沢商会様と共催したPANNAイベント。ホームゲームには毎試合30名以上のサポーターが駆けつけた。地域リーグでこれほど、応援されているチームはない。優勝が決まった際も、沢山のお祝いの言葉が届き、感謝しても感謝しきれない。
来季は東北6県を主戦場とし、レベルが1段階も2段階も上がることで、今までよりも苦しい戦いが想定される。しかし最後まで諦めず、必死に食らいついて1部に定着したいと考える。今後も引き続き、奥州ユナイテッドFCの応援をよろしくお願いいたします。